つながることに価値がある!大林組DX本部の田邊さんと、隠れ家トラットリアで本格イタリアン
品川にゆかりのあるゲストをお招きしながら、地元飲食店の魅力を伝える“Re-FRESH”。今回は、品川駅 港南口徒歩1分の隠れ家イタリアン“アントニオ・デル・ポライオーロ”にて、“株式会社大林組 DX本部”の田邊麻美さんにお話を聞きました。
「MAKE BEYOND つくるを拓く」をビジョンに掲げ、新たなものづくりの技術や知見の発展を目指し邁進する大林組。重要な経営戦略のひとつである“デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略”は、昨年5月に同社が“DX銘柄2023”に選定されたことで一層高い注目を浴びています。そして、そんな大林組のDX戦略のエンジンとなっているのが、今回登場するDX本部です。
2024年3月25日からの3日間、品川インターシティに多くのテクノロジー企業が集う“SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2024”では大林組も出展し、普段の活動の一端を展示する予定です。イベントに向けて準備中の田邊さんを招き、DX本部のお仕事やイベントの見どころを語っていただきました。
今回の舞台“アントニオ・デル・ポライオーロ”
今回の舞台は、JR品川駅港南口からすぐのビルにある、隠れ家イタリアン“アントニオ・デル・ポライオーロ”です。お店は8階ですが、1階には控えめな店舗看板があるのみ。一体どんな店なのか、期待を胸にエレベーターへ乗り込みます。
扉が開くとまず目を引くのは、カウンター式のオープンキッチン。その向こうはガラス張りで、昼は明るく、夜はビル灯りでドラマチックに店内を演出します。
店内は木のぬくもりを感じる内装に、暖色の照明。テーブル席は全席がキッチンに立つシェフから見渡せるように配置され、温かなおもてなしの心を感じます。普段使いはもちろん、記念日やお祝い事などの大切な日にも安心して利用できそうです。
さて、そんなアントニオ・デル・ポライオーロにお誘いしたのは、大林組DX本部の田邊麻美さんです。
田邊さん:
私は大学院を卒業後、新卒で大林組に入社しました。現在は毎日品川に通勤していますが、まだあまり街のことを知らないんです。駅前にこんなにお洒落なお店があったんですね!
田邊さんは、入社4年目。たまたま同世代だと判明したRe-FRESH編集部員と一緒に、昼下がりのイタリアンを堪能しながら、田邊さんとDX本部について紐解いていきます。
田邊さん:
大学では建築を専攻していました。建築というと設計やデザインを思い浮かべるかもしれませんが、私は在学中には建築計画の研究室に所属していて、まわりの環境が人の動きに与える影響の研究をしていました。
実験には仮想現実(VR)など、当時あまり一般的には使用することの少なかった技術を使うことが多かったです。VRを使うことで実際の建物がなくてもいろいろな検証ができます。情報技術を建築と掛け合わせるというのは私には目新しく、面白いと感じました。
就職先として大林組を選んだのも、大学の研究室での経験のおかげです。いくつかの建設会社を検討する中で、先端技術に携わり続けられると感じたのが大林組でした。
田邊さんのプロフィールを伺っている間に、テーブルにはお料理が揃いました。注文したのは、シェフの田澤さんおすすめの3品です。
アントニオ・デル・ポライオーロのお料理は、星付きレストランで修行したシェフが自信を持って提供する本格イタリアン。しかし、メニュー名には“塩麹”や“高菜”などの和の食材名も多くみられます。その理由を、田澤シェフはこう説明してくれました。
田澤シェフ:
当店では、長野の辰野町や京都の木津川市など、国内各地から四季折々の食材を仕入れ、その日の入荷状況に合わせてお料理を作っております。カテゴリーとしては“イタリアン”ですが、あまり型にはこだわらず、日本人に身近な食材を、日本人の味覚に合う味付けでお召し上がりいただくことを大切にしています。店内はアットホームな雰囲気を心がけておりますので、ぜひリラックスしてお食事の時間をお楽しみください。
日本の食や人に対するシェフの温かな想いを知って、お料理をいただくのがますます楽しみに。田邊さんとの会話も弾みます。
DX本部のミッションとは?
出会いに恵まれ大林組に入社し、1年間の現場研修の後、希望通りにDX本部の前身となる“デジタル推進室”に配属された田邊さん。現在の担当領域である、“建設現場でのドローン利用”を例にして、DX本部の役割を説明してくれました。
田邊さん:
DX本部は大林組の全社的なデジタル戦略を考える部署です。建設現場を中心とした、社内で利用するシステムの開発支援や、機器やソフトの現場への導入支援、新規技術の現場適用の企画提案など、部内全体で幅広い領域をカバーできるのが強みです。
取り組みの内容は多岐にわたりますが、最近では“BIM(Building Information Modeling)”(※)を誰でも簡単に利用できるシステムの開発も行っています。BIM活用は建設業界でかなり普及してきていますが、設計段階での活用が中心で、現場での活用はまだ限られています。多くの現場がBIMを有効に活用できるようにすることも、DX本部の大きなミッションとなっています。
※BIMとは:“建物の設計や構造計算だけではなく、建築部材の選定、施工計画、コストなども含めて総合的に管理するコンピューターシステム。”|出典:コトバンク(2024年3月17日閲覧)
田邊さん:
“建設現場でのドローン利用”という取り組みも進んでいます。建設現場では、施工物の品質管理や工事進捗の確認業務があるのですが、私たちはドローン活用によりそういった業務の生産性・安全性を向上させようと考えています。建設現場には広大な敷地や高所もあるため、ドローンが巡回してデータを取得すれば、効率も安全性も上がりますよね。
私たちDX本部では、他社と協業してさまざまなドローンの中から建設現場に適した機体を選定し、現場業務への活用提案や現場での検証、導入支援を行っています。
“SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2024”で、自慢のドローンがデモ飛行!
3月に品川インターシティにて開催されるTechnology展示イベント“SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2024”に、大林組DX本部も参加されるとのこと。当日は会場内でドローン飛行のデモも行われるようです。
田邊さん:
“SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2024”で使用するドローンは、アメリカのSkydio社製です。もともとコンシューマー向けモデルだったのですが、比較的小型で屋内での安定飛行が可能であり、当社が探していた条件に合致したため、建設現場での活用提案や検証を進めてきました。
この機体の推しポイントは、GPS(位置情報)が取得できない場所や複雑な環境でも、事前に指示したルート通りに障害物を避けて飛行できるところです。しかも、障害物の場所を変えても、自分で考えて回避してくれるんですよ。本当に精度が高く安定して飛べる、お気に入りの機体です。
一般公開型のイベントに出展する機会はほとんどないので、今回はTech系の企業の方はもちろん、品川在住・在勤の方々にぜひご覧いただきたいですね。特に、お子さまがどんな反応を見せてくれるのかが楽しみです。
品川らしい“オープンイノベーション”が生まれるかも?
ドローンの例が示すのは、DX本部における“オープンイノベーション”の重要性です。大林組には長年の経験に基づく多くの建設技術が蓄積されていますが、IT・AI・ロボットなどの先端分野を自社のみで開発することは困難です。従来の枠を超えた先端技術開発を、速く確実に行うためには、すでにプロダクトがある企業との協業が効果的であり、田邊さんの中にもその意識は根付いているようでした。
田邊さん:
他企業に優れた技術があるのなら、その会社に開発を委託したり、共同研究を提案したりする方が良いと私自身は思います。別分野を専門とする企業だからこそ気づくアイデアがきっとあるはずですし、何より、技術をゼロから生み出すのはとても大変なことなので。
田邊さん:
先ほどのドローンの例では、Skydio社が想定していなかった使用方法を私たちが建設現場での課題から発見し、プロジェクトが発足しました。現在はそのドローンをどのように現場へ導入するかというフェーズに入っています。現場での使い易さの追求や実務者の教育など、整備しなければならないことは山積みです。
今回のイベントで、品川のテクノロジー企業のみなさまと情報交換できたら嬉しいです。私も大林組のブースにいる予定ですので、お気軽にお立ち寄りください!
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“SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2024”では、大林組以外にも、さまざまなテクノロジー企業が最新技術を展示し、実際に体験できる技術も存在します。キッチンカーによる食事やクラフトビールの提供もあるので、夜桜見学もかねてぜひお越しください。
また、今回お邪魔した隠れ家イタリアン アントニオ・デル・ポライオーロも、会場から徒歩5分ほど。お店は15時から営業しているので、イベント前の“ちょっと一杯”にもおすすめですよ。
それでは次回の記事もお楽しみに。
【店舗情報】アントニオ・デル・ポライオーロ
住所|東京都港区港南2-2-2 新富士ビル8F
TEL|03-5781-3525
MAP|https://maps.app.goo.gl/4QkBpjYLiBdqgR319
HP|https://food-architect-lab.com/lp/antonio/
営業時間|15:00〜23:30(L.O. 23:00)