ずっと変わらない「レトロな港南」と出会う【港南口ふれあい広場夏まつりの2つの願い~後編~】
多くのイベントが中止を余儀なくされた2020年。品川駅港南口ふれあい広場で7月第3週の金曜日から日曜日にかけて合同で行われる「御田八幡神社港南夏祭り」「品川駅港南商店会夏まつり」もその一つです。
今年は行けないけれど、次の機会にはぜひ足を運んでほしい!ということで、このお祭りについて前後編に渡ってご紹介しています。
前編では、このお祭りの「神社祭り」という側面にクローズアップしました。
後編では「レトロな港南と出会える場所」という面について、前編に続き品川駅港南口町会会長の谷田睦二さん(63)にお話を聞いていきます。
浴衣姿の谷田さん
「品川駅港南口商店会夏まつり」とは?
このお祭りを主催しているのは、品川駅港南商店会。その名の通り駅前で飲食店などを経営する方たちの集まりで、約10年前に発足しました。
駅前でのイベント開催が主な活動で、交通安全週間に合わせてクラシックカーを展示する「品川クラシックカーレビューイン港南」も行っています。
そんな商店会が、前編でご紹介した「御田八幡神社港南夏祭り」と合同で実施しているのが「品川駅港南商店会夏まつり(以下、商店会夏まつり)」です。毎年7月第3週に実施される港南での御田八幡神社のお祭りに合わせ、港南エリア内外から様々な屋台を集めて盛り上げています。
谷田さん:
商店会夏まつりを始めたのは、品川駅港南口に駅前広場が整備されて大々的にイベントができるようになったのがきっかけです。それまでは、ちょっとしたスペースにテントをひとつ立てて細々と御田八幡の夏まつりをしていただけですから。
近隣のワーカーらしい人も、親子連れもいます
港南の「ご当地グルメ」が楽しめる!
夏まつりの定番ともいうべきお好み焼きや金魚すくいなど屋台も並ぶ一方、
注目すべきは港南ならではのご当地グルメです。
駅前の飲食店がおすすめのメニューを2、3品販売するほか、品川駅内の飲食テナントや、周辺のホテルも出店しています。港南のおいしいものが集まり幅広く楽しめる、何ともうれしいイベントです。
そんな屋台の中から、谷田さんのおすすめを聞いてみました。
谷田さん:
このお祭りの名物は、何と言っても「もつ煮込み」です。食肉市場がある港南らしい料理ですね。お客様が来て、お神輿が置いてある神酒所で接待をする時には必ず煮込みを出します。
それから、かつての港南には朝鮮からの移民が集住していたという歴史的な背景もあって、トッポギなどの韓国料理の屋台が出るのも特徴的かもしれません。
「煮込み」や「トッポギ」の文字も見えます
ひっそりと愛される「レトロな飲み屋街」を知ってほしい
駅前広場ができたことをきっかけにはじまったという商店会夏まつり。駅前で細々と行われているだけだった神社のお祭りが姿を変えたように、港南の街そのものも姿を大きく変えています。
谷田さん:
私の港南歴は生まれた時からなので、もう63年になります。両親が港南で中華料理屋を営んでいたので、この街のことは昔からよく知っているんです。昔の港南を知っている人からすれば、浦島太郎のような気持ちになるでしょうね。
昔の品川駅港南口の様子は、港区公式ホームページで確認できます。なんと谷田さんのコメントも掲載されています!
https://www.city.minato.tokyo.jp/kouhou/kuse/koho/konjaku/konjaku02.html
そんな港南の中でも、唯一ずっと変わらぬ姿で残っている場所があります。それは、路地裏にある飲み屋街です。
谷田さん:
飲み屋街のノスタルジックな雰囲気を気に入ってくれている人も多い印象です。年季の入った居酒屋は、はじめて行くにはちょっと入りにくいかもしれませんが、若い人が先輩に連れられて楽しんでいる様子も見られます。
現在では、昔からの景観を残しつつ、防犯灯を設置するなど安全面への配慮も進んでいます。レトロな雰囲気を求めて女性客も増えてきました。
赤ちょうちんが印象的です
一方、品川駅前の再開発により行き交う人の流れも変わっていきました。
品川インターシティや品川グランドコモンズの方から品川駅まではスカイウェイを通って行けるようになりました。その影響で、飲み屋街の方面にはなかなか来てもらえないという課題もあるのだといいます。
谷田さん:
今ではそう残っていない昔ながらの風景が楽しめる場所があるのが、港南の良さだと思うんです。なので、商店会夏まつりには、「お祭りの賑わいに引き寄せられた港南で働く人たちが駅前の飲み屋街を知るきっかけになれば」という願いもあるんです。
開催される日をお楽しみに!
「何かやっているな」と思っても、立ち寄ることなく通り過ぎてしまっていた品川駅前ふれあい広場のお祭り。その正体は、「港南で暮らす人や働く人が、楽しく健やかに過ごせるお祭り」でした。
なんだか、港南への興味や愛着が深まりそうなイベントです。
今年は残念ながら中止となってしまいましたが、次に開催されるときにはぜひ足を運んでみてください!