未来はJuicy&Happyに!会話型AI構築ツールmiibo開発者と北品川で焼肉談義
品川にゆかりのあるゲストをお招きしながら、地元飲食店の魅力を伝える“Re-FRESH”。今回は、 北品川の人気焼肉店“ベイサイドTokyo牧場”にて、株式会社miibo(ミーボ)の功刀 雅士さん・屋田 拓哉さんにお話を聞きました。
株式会社miiboは、会話型AI構築サービス開発者の功刀さんが立ち上げたスタートアップです。サービスリリースからわずか2年で、miiboの登録者数は2万アカウントを突破し、現在も数を伸ばしています。
人工知能(AI)関連サービスが急速に生活に浸透し始め、多くの方がAIへの適切な向き合い方を模索している現在。探究心旺盛な Shinagawa people は、お二人に聞いてみたいことが山ほどあるのではないでしょうか。
約半年前から品川インターシティA棟22階のインキュベーションオフィス“SPROUND(スプラウンド)”で働く品川1年生でもあるお二人に、miiboの開発秘話からAIの未来まで、たっぷりと語っていただきました!
今回の舞台“ベイサイドTokyo牧場”
今回の舞台は、品川駅港南口から品川インターシティを通り抜けた先にある、ベイサイドTokyo牧場です。
運営会社の代表が元プロ野球投手ということもあり、店舗入口付近には複数のユニフォームやグローブが展示されています。中には超有名選手の名前もあり、野球ファンならずともテンションが上がるお店です。
インダストリアルテイストな内装と、卓上の七輪で焼くスタイルが生み出すライブ感は、飲み会や宴会の場を一層盛り上げてくれること間違いなし。リーズナブルなランチやお弁当も人気です。
さて、そんなベイサイドTokyo牧場にお招きした今夜のゲストは、こちらのお二人。
慣れた手さばきでお肉を焼くのは、元焼肉店スタッフで現miiboグロースハッカーの屋田さん。その隣で、屋田さんの焼肉トークを楽しそうに聞くのが、miibo開発者の功刀さんです。
功刀さん:
僕は焼肉が大好きです。誕生日や記念日といえば焼肉ですし、屋田さんと初めて会ったのも焼肉店でした。
屋田さん:
功刀さんとは前職でたまたま参加した社内の焼肉交流会で知り合いました。
功刀さん:
そういえばmiiboの採用面接も焼肉でしたよね。「屋田さんってお肉を焼くのがとても上手なんです」と、他の参加者に屋田さんを紹介したことを覚えています。
屋田さん:
肉を焼きながら語るのは、僕の“ポータブルスキル”※1 なんです。接待や商談の時にも役立ちますし、今夜のテーマである“AI”へのつなぎにも使えますよ。たとえば、「僕はいつか、肉の焼き加減を診てくれる“ミート認識AI”を作りたい!」……とか。
功刀さん:
僕らでAIを作って、AIが屋田さんを越えたら焼肉界隈からは引退ですね(笑)
会話型AI miiboとは?
屋田さんの焼肉話術のおかげで、場の空気は十分に温まりました。話題はいよいよ、功刀さんが開発した“会話型AI構築サービス miibo”に移ります。
“AIとの会話”に魅せられ、12年
功刀さん:
会話型AIを作り始めたのは、小さい頃から触れてきたSF映画やプログラミングの技術書に影響を受けたのがきっかけです。
初めて作ったAIは、ファストフード店のドライブスルーでの使用を想定した自動応答のデモソフトだったのですが、それが面白くて今につながっています。その後はiPhoneの“Siri”に触発され、Android版音声アシスタントの“おしゃべりアシスタント”を開発し、GooglePlayストアで公開しました。
功刀さん:
おしゃべりアシスタントとSiriとの違いは、雑談力でした。
従来のAIの対話システム※2 は、何かしらのタスクの実行を目的とする“タスク指向型対話システム”と、特定のタスクを目的としない“非タスク指向型対話システム”とに分けられます。前者は回答がわからない時に「わかりません」と返しますが、後者は何らかの返答をするので雑談をすることができます。
Siriの場合はタスク指向が強く、非タスク指向は弱い傾向がありましたが、僕は、会話においてはどちらの要素も大事だという問題意識を持っていました。そこで、おしゃべりアシスタントの開発では非タスク指向型、つまり雑談ができることに重きを置いたのです。
その後、10年ほどおしゃべりアシスタントの開発を続け、2020年からmiiboの開発に取りかかりました。miiboは盆栽のように気長に育てていこうと思っていたのですが、2023年初め頃にChatGPTブームが来て、その余波でmiiboのお客さんも急増したため、前の会社を退職して独立しました。
miiboでAIチャットボットづくりをみんなの手に
功刀さんがコツコツ開発してきたチャットボットは、“雑談力が高いAI”という点でChatGPTと類似していますが、大きな違いもあります。ChatGPTが会話型AIの基礎となる“大規模言語モデル(LLM:Large language Models)”※3 の一種であるのに対して、miiboはLLMを活用するためのミドルウェア。miiboを使えば、プログラミングの知識がない人でも簡単にLLMをカスタマイズして、自分だけのAIチャットボットを構築できるのです。
「ちょっといいですか?」と、功刀さんが自身のスマートフォン上で見せてくれたのは、miiboで作られたチャットボット“miibo公式アンバサダーAI ミー”の管理画面でした。
功刀さん:
“ミー”は、miiboに関する質問や相談に答えるチャットボットです。ミーには僕が書いた『miiboではじめる会話型AI開発』という電子書籍を読み込ませてあり、その内容に基づいてお客さんと会話してくれます。
miiboを使うと、誰でも簡単に、このようなチャットボットを作れるようになります。
功刀さん:
ChatGPTのようなあらゆる情報を取り込んだLLMでは、会話内容の制御が問題になる場面があります。miiboなら指定した情報源にないことを出力しないよう指示できますし、“ハルシネーション”※4 への対策もしています。
屋田さん:
AIは文脈に対して確率的に高い回答を返しているだけなので、回答間違いもしやすいのですが、とはいえ重要な質問への回答を間違われては困りますよね。だから、miiboにはあらかじめ回答内容や会話のシナリオを設定したり、AIの回答をもう一度AIに確認させたりという機能も持たせています。
功刀さん:
AIの会話の仕組みは奥が深くて、「人間の会話も基本はAIと共通なのでは?」という議論もあるほどです。でも、これを話し始めると止まらなくなってしまうので、今夜はやめておきましょう(笑)
AIで“誰もが幸せを最大化できる時代”を
楽しいAIトークも、そろそろお開きの時間。食事のシメには、ベイサイドTokyo牧場の人気メニュー“コムタンラーメン”を選びました。
屋田さん:
濃厚なのにさっぱりとしたスープで、シメにぴったりの味です!
功刀さん:
グルメも美味しいし、やっぱり品川っていい街ですね。
屋田さん:
品川には大企業からSPROUNDにいるようなスタートアップまで、様々な企業が集積しているのが面白いと思います。大企業も同じかと思うのですが、SPROUNDに集まっているのはそれぞれ違う事業の起業家だけれど、“社会を良くしたい”という共通項を感じています。
功刀さん:
起業家には、幸せに貪欲な人が多いのかもしれませんね。事業の成長によって、自分だけでなく、周囲の人や社会も幸せにできる。僕はそれを“幸せの最大化”と呼んでいます。
僕がmiiboで実現したいのは、“幸せの最大化”を誰もができる未来です。miiboでAI開発をとても簡単にできれば、誰でもAIを活用できる時代が到来します。そうなれば、人々は生活のための仕事をAIに任せて、空いた時間を自分の幸せの追求に費やせるようになるでしょう。
屋田さん:
でも、個々人が自分の幸せを定義するのは難しそうですね。
功刀さん:
そこはAIでマッチングできるようにしたい。miiboの次のミッションはそれかもしれませんね。ただ、僕自身は、幸せは自分で探すものだと思っています。
屋田さん:
見つけられないかもしれなくても?
功刀さん:
はい! 自分から求めに行くことが大切なのです!
屋田さん:
見つかるかわからずとも、幸せという宝を探し続ける……人生は冒険ですね!
* * *
AIの発達により、人間が本来やるべきことだけに向かえる時代が来るというビジョンを語ってくれたお二人に、ご自身にとっての“本来やるべきこと”は何かと問うと、「脳汁が出るほどにワクワクすること!」と答えてくれました。
あなたにとってのそれは、どんなことですか? もしかしたら、miiboがそのサポートに大いに役立つかもしれません。
それでは次回の記事もお楽しみに。
【店舗情報】ベイサイドTokyo牧場
住所|東京都品川区北品川1-12-7
TEL|050-5462-2618
MAP|https://maps.app.goo.gl/eXJrSN72awkbgyT26
HP|https://tokyo-bokujo.foodre.jp/
脚注
※1 ポータブルスキルとは・・・業種・職種の垣根を越えて、どんな仕事や職場でも活用できる汎用性の高いスキルのこと|出展:コトバンク(2024/03/02 閲覧)
※2 AIの対話システムについては、功刀さんのnote(下記リンク先)もご参照ください。
※3 大規模言語モデルとは・・・膨大な文章データでディープラーニングによる事前学習を行った言語モデル|出展:コトバンク(2024/03/02 閲覧)
※4 ハルシネーションとは・・・生成AIによる対話型AIサービスなどで、質問に対して、いかにも事実のような虚偽の回答がなされる現象のこと|出展:コトバンク(2024/03/02 閲覧)