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アメフトができる環境は自らつくり出す!ブルザイズ東京を知る前編【スポツナシナガワvol.4】

社会人アメリカンフットボールチーム、ブルザイズ東京(以下、ブルザイズ)。創部は1993年で、2000年より品川エリアをホームタウンとして活動しています。品川エリアの社会人スポーツチームとしては、最も歴史が古いチームです。

スポーツで人と人のつながりを考える「スポツナシナガワ」シリーズ第4弾では、品川エリアを拠点として20年目を迎えるこのチームにフォーカスします。

2020年より新たにゼネラルマネージャー(GM)に就任した岸原直人さんから、ブルザイズが現在に至るまでの軌跡をお伺いしました。

岸原さんプロフ

岸原直人さんプロフィール
1994年から2007年までブルザイズの選手として活動。それ以降は長く後援会員としてチームを応援してきたが、今年からGMに就任した。チーム創成期を知るメンバーでもあり、ブルザイズへの愛は人一倍。

(カバー画像:岸原さん提供。左端の背番号22番は選手時代の岸原さんです)


お手製グラウンドからスタート!?ブルザイズ誕生

ブルザイズが生まれた背景には、1980年代後半から1990年代初めにかけてのアメリカンフットボール(以下、アメフト)ブームがありました。ちょうどバブル景気の時代です。

この頃、大手企業がメインスポンサーとなってアメフトのチームをつくり、ノー残業デーの水曜日に東京ドームで試合をするのが流行していたのだといいます。

そんな頃に、岸原さんはパナソニックの前身である松下電器産業に入社しました。

岸原さん:
当時、西日本ではグループ会社である松下電工のアメフトチームが首位に立っていました。ならば東日本は松下電器で抑えよう、という話が東京勤務の社員の間で持ち上がりチームが発足したのだそうです。それが1993年のことで、僕が入部したのがその翌年のことです。

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前列左から2番目が選手時代の岸原さん。背番号は22番でした
(提供:岸原さん)


当初は企業名を冠し「パナソニックブルザイズ東京」として活動していましたが、翌年には企業に関わらず誰もが参加できるクラブチームという形式を取り、「ブルザイズ東京」となりました。

チーム名の由来は「bull's-eye(ブルズアイ)」という言葉。直訳すると“牡牛の目”です。この言葉には金星を狙う、頂点を狙うという意味があります。そんなチームを目指すべく、この名前が付きました。

現在、ブルザイズが本拠地としているのは港区港南・天王洲・北品川を含む品川エリア。練習には港南にある教育機関のグラウンドを使用しています。しかし、彼らの本拠地は、はじめから品川エリアだった訳ではありません。

岸原さん:
2000年までは、手作りのグラウンドで練習していました。神奈川県の戸塚に松下電器の遊休地があって、そこを選手たちが半年かけて開墾したのだそうです。

ところが、苦労して開墾したグラウンドはマンション建設のために売られてしまうことに。

そんな時に、港南の教育機関からアメフトの指導・強化をしてほしいという話がチーム関係者に舞い込んできました。選手が学生たちに指導しながら、自分たちも練習できるグラウンドを、品川エリアで手に入れたのです。

草刈り

草刈りに精を出す当時のブルザイズ選手
(引用:岸原さんnote『”Field of Dreams”ー四半世紀前 大企業の身の丈を超える雑草だらけの遊休地を、「夢のアメリカンフットボール フィールド」に変えたブルザイズ東京の物語』


日本初の「複数市民オーナー制」チームへ

ブルザイズ東京が発足して3年後の1996年、日本アメフト協会は社会人アメフトリーグ「Xリーグ」を立ち上げました。

ブルザイズもこのリーグに加盟しようとしましたが、それは適いませんでした。

岸原さん:
当時は、発足から間もないサッカーのJリーグが盛り上がりを見せていました。なので日本アメフト協会には、XリーグもJリーグに匹敵するリーグにしていきたいという意向がありました。
なので、企業スポンサーが付いている財政基盤的にしっかりしたチームでないと、Xリーグには所属できなかったんです。ブルザイズは単一の企業スポンサーは持っていなかったので、資金力が保障できませんでした。

そんな時に、ブルザイズでは「複数市民オーナー制度」という形式を打ち出しました。モデルとなったのは、アメリカのグリーンベイを本拠地とするアメフトチーム、グリーンベイパッカーズです。

グリーンベイは人口10万人規模の小都市ですが、この街を本拠地に活動するグリーンベイパッカーズは名門中の名門チームです。

そのチームを支えているのは、企業ではなく市民。市民にチームの株を買ってもらうことで資金を得て運営されているのです。ブルザイズでもその制度を採用し、1998年にXリーグへの加盟を果たしました。

岸原さん:
今では一人ひとりが少額ずつ資金を出し合って目標を達成するクラウドファンディングの仕組みも広まりつつありますよね。その仕組みが生まれる20年程前から、これに通じる取り組みを継続しているのがこのチームなのです。

今もサポーターの想いを背負い、活動しています

実際にこの制度でチームを運営できるようになったのは、試合を見に来てもらえるよう周囲の方々への声掛けに勤しんだ選手やスタッフ、関係者の努力あってこそでした。

岸原さん:
我々は平日は懸命に仕事をして、週末には全力でアメフトに取り組む集団です。その姿勢に共感してもらいながら、地道にファンを獲得していくのが最初のステップでした。

そして現在では、この市民オーナー制度が他のチームへも広まっています。

1997年以降の金融不況のあおりを受け、銀行などの金融系企業はアメフトチームのスポンサーを降りてしまう事態に。資金を得られず廃部の危機を迎えたチームの中には、ブルザイズに倣い市民オーナー制度を採用したところもあるといいます。


環境は自分でつくる—20年以上受け継がれる姿勢―

現在のブルザイズを支えるのは164人の後援会員と特別後援会員、個人オーナー、そして6社の企業です。

元は個人単位の支援を中心としていましたが、Xリーグの2部リーグに昇格した2000年代には企業スポンサーも付くようになり、ここ数年では港南エリアの企業による支援も増えてきています。

チームを支えるファンが増えてきている要因には、20年以上受け継がれる選手たちの姿勢があるといいます。

岸原さん:
これまでの歴史を振り返っても、プレーするだけではなく練習場所を作ることも選手自らやってきました。今でも、チームの1年の活動をまとめたイヤーブックは業者に頼むのではなく選手たちが作っているんです。

自分がアメフトを続けるための環境は、自分でつくる。その努力をスタッフ任せにせず選手自らするのは、ブルザイズならではのものです。

奮闘するブルザイズの選手たち


次回は豪華メンバーによる対談です!

練習場獲得の壁、Xリーグ加盟の壁を打ち破ってきたブルザイズ。
代々受け継がれる力強い気風が、このチームの魅力ですね。

さて、次回はヘッドコーチと運営メンバー、そして現役選手を加えての対談をお届けします。果たしてどんなお話が聞けるのでしょうか?

お楽しみに!

ブルザイズポーズ

これは何のポーズでしょうか…!?
次回明らかになります!


🏉必見!試合情報🏉
ライブ配信はXリーグ公式ページをチェック!
https://xleague.jp/

日時|11月28日(土)14:00-
場所|富士通スタジアム川崎
対戦|富士ゼロックス

📚2020年イヤーブック📚
選手自ら制作したイヤーブックでは、チームの活動の様子やメンバー紹介が見られます!こちらもぜひご覧ください。(アンケート回答後、ダウンロードリンクページに移動します)
🔘ダウンロードはこちら


ブルザイズ東京
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