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色彩豊かなイタリアンとともに語る映画祭からはじまる品川の新しいカルチャー【TRATTORIAItaria 品川店/港区港南】

品川駅港南口のシンボル的な存在である円筒形の高層ビル・品川インターシティ。今回は、そんな品川インターシティに所在する“TRATTORIA Italia(トラットリア イタリア)品川店”を紹介します。

“TRATTORIA Italia”は、店内にある石窯で焼き上げるピザが自慢の本格イタリアンレストラン。
 
本格イタリアンをじっくり味わえるランチやディナーだけでなく、スイーツと共にゆったり語らうティータイムも楽しめます。まさにShinagawa peopleの日々の生活に寄り添い、様々なシーンで訪れたいお店です。

ボリューム満点のランチメニューが書かれた立て看板
アルコールメニューも充実しています

そんな“TRATTORIA Italia”でお話を伺うのは、長島 源さん。生まれ育った神奈川県逗子市でシネマカフェ“CINEMA AMIGO(シネマアミーゴ)”の館長として活躍しながら、アートフェスティバルや映画祭の企画、演出から空間づくりまでを手がける“Cinema Caravan(シネマキャラバン)”のメンバーとして活動しています。
 
“Cinema Caravan”が会場演出を手掛けるイベントの一つが、品川インターシティで11月7日(月)-12日(土)の6日間にわたって開催される“品川国際映画祭”。この日は準備のための打ち合わせで品川を訪れていた模様です。

今回は、長島さんが語る“映画”を軸とした空間、そしてそこから醸成されるカルチャーの魅力を、“TRATTORIA Italia”の色彩豊かなお料理とともにお届けします。

【品川国際映画祭とは】

品川インターシティを会場とした都会の真ん中で幻想的なシネマ体験が楽しめるアウトドアシアターが、リアル開催としては3年ぶりに復活。“Cinema Caravan”が手掛ける空間演出と、高層ビルの谷間の緑地空間を煌びやかに演出するイルミネーションとのコラボレーションにより、“非日常”な特別な空間が作り出されます。
 
上映作品は日本発アジア最大級の国際短編映画祭“ショート ショート フィルムフェスティバル & アジア”が厳選するショートフィルム。人気のキッチンカーやアーティストによるライブ演奏等のコンテンツも充実し、すべてが味わえる特別な6日間をお届けします。
 
会期は11月7日(月)~12日(土)。

【イベントHP】
https://www.shinagawa-cinema.com/

“映画”を通して多世代とつながる場をつくる


メニューを開いた長島さんが思わず気になったのは“身体にいいサラダ”。“本日の鮮魚のカルパッチョ”と共にオーダーします。
 
“身体にいいサラダ”は、その名の通り食物繊維が摂れるオクラにビタミンたっぷりのトマトやブロッコリー等、6種の野菜が彩りよく盛り付けられています。

身体にいいサラダ(¥1,180)

カルパッチョに使われる鮮魚は季節によって異なり、この日はさらりとした口触りのヒラメ。トマトの酸味とあいまって、さっぱりとした美味しさです。

本日の鮮魚のカルパッチョ(¥1,380)

色鮮やかな前菜を前に気分も明るくなったところで、長島さんの“映画を基軸とした活動”の原点であるシネマカフェ“CINEMA AMIGO”の立ち上げや“Cinema Caravan”との相互作用についてお話を聞きます。

長島さん:
僕は10代の頃からよく映画を見ていました。当時は作品を幅広く見るというよりは、気に入った映画を何度も見ることが多く、“スタンド・バイ・ミー“はセリフを全て覚えるほどでした。
 
大学に進学すると、自分の専攻とは別の映像学科の授業に興味を惹かれて、映像学科の資料室に入り浸っていました。映像学科の学生が2年生までに見るべき映画が100本程指定されていたのですが、別学科にもかかわらず僕はその作品を一通り見ましたね。それくらい映画が好きでした。

一方で、20代の頃は音楽中心の活動をしており、自分の空間を持つとしても“映画”をコンテンツにしようとは思っていませんでした。

ミュージシャン・モデルとして活躍していた長島さん。地元の逗子だけでなく、鎌倉や横須賀といった他地域ではありながらも同世代の音楽仲間が集まるカルチャーベース “SOLAYA”の運営も行ってきました。“人が集い、カルチャーを構築していく空間を作ること”に強い興味を持っていた中、20代の終わりという節目のタイミングで、「これまでの人生とは違う層の人たちにアプローチしたい」と考え始めます。
 
長島さん:
“音楽”は多くの人とのつながりを生み出してくれました。ただ、これまでとは違うことがしたいと思ったとき、同世代の同じ趣味・興味の人たちでコミュニティ化される音楽だけでは既存のつながりの内側で閉じこもってしまうと感じました。
そんな時、上映する作品のテーマによって空間に生まれるコミュニティに変化をもたすことができる“映画”を活用することで、間口を広げられるのではないかと思ったのです。
 
2009年、長島さんはちょうど30歳を迎える年に、現在“Cinema Caravan”の代表を務める志津野さんらと共に会社“BASE LLC.”を設立し、シネマカフェ“CINEMA AMIGO(シネマアミーゴ)”をオープンします。

長島さん:
20代は物事を長く続けることはそれほど意識せず諸々の活動を行ってきましたが、“CINEMA AMIGO”を始める際は「これは簡単に辞めずに、継続して行う取り組みだ」と覚悟を決めていました。この場所は、ローカルに根ざして活動を広げていくための場にしたいと考えていました。
 
一方で、志津野が代表を務める“Cinema Caravan”は真逆で、旅を続けることによって訪れた地域のカルチャーを吸収し、地元の逗子にフィードバックする取り組みです。
 
双方の取り組みが合わさることにより、より面白いカルチャーが生まれると考えています。

大反対から始まった“映画祭”。継続が生み出した地元の信頼と自信


話に熱がこもってきたところで、石窯で焼き上げたアツアツのピッツァが登場。
王道のマルゲリータです。トマトとバジルの香りが混ざり合う看板メニューを片手に、話題は“Cinema Caravan”が最初に手掛けたプロジェクト、“逗子海岸映画祭”へ。

第1回の“逗子海岸映画祭”の計画が持ち上がったのは、 “CINEMA AMIGO”の立ち上げから約1年が経った2010年1月のことでした。「実は、最初は乗り気ではなかった」と、苦笑いの長島さん。

長島さん:
「まだ“CINEMA AMIGO”の運営が安定しているとは言えない段階なのに新しいイベントを立ち上げるなんて!」と僕は大反対しました。1ヶ月程メンバー内で話し合いが続き、最終的には開催することになりましたが、実際にやるとなったらとにかく大変。開催を決めてから本番までは4ヶ月しかなかったのですが、初めての経験なので映画祭を作り上げるノウハウは一切ありません。上映作品も開催直前まで決まらず、当日に上映素材が届くようなバタバタの運営でした。
 
逗子内外の方に来場いただけたこともあり、手ごたえは感じたものの、収益性といった意味では当時は厳しく、立ち上げ後の数年間はバタバタで運営する状態がしばらく続きました。正直なところ毎年、「もう今年が最後で良いんじゃない?」と思っていました(笑)。

逗子海岸映画祭の様子
(引用:“Cinema Caravan” HP

苦労して仲間たちと共に映画祭を開催し続ける中で、5年目の“逗子海岸映画祭”を終えた時に長島さんの中である変化が起きたと言います。
 
長島さん:
5年目の映画祭が終わったとき、初めて自分の口から「来年もよろしくお願いします!」という言葉が出ました。
 
イベントの収支が安定してきたこともありましたが、地域の中で“ゴールデンウィークといえば逗子海岸映画祭”という認識が定着してきたという実感が持てたことが大きかったです。
 
「地域に根付いた活動がしたい」という想いから“CINEMA AMIGO”を立ち上げた長島さんにとって、地元にカルチャーを作ることにはやりがいを感じていました。
 
長島さん:
“継続すること”が本当に大切で、その中で地域の方との信頼関係を構築できるということが身をもって感じられました。
 
地元の方たちの中には「あいつらはきっと長続きしないだろう」という風に僕たちを見ていた方もいました。ですが、数年かけて“逗子海岸映画祭”の実績を積み上げた結果、「逗子海岸映画祭のおかげで商店街の盛り上がりは割増だよ」と言ってくれるまでの関係になりました。
地元の信頼が強まることで、商工会の会合に呼んでいただいたり、行政主催のアートフェスティバルにオブザーバー的に関わるようになったりと、これまでになかったつながりを築くことができました。

初開催から10年以上が経った“逗子海岸映画祭”。始まった頃には小学生だった子どもたちが今では受付スタッフとして参加してくれるケースも出てきています。その中で、長島さんは若者の地元に対する意識にも変化を感じています。
 
長島さん:
少し前までは、“都会は最先端で、田舎は時代遅れ”というカルチャーの上下関係のようなものが一般的でした。逗子も、都会と比べれば劣った印象を持たれていたと思います。
 
ですが、今はどこにいようとリアルタイムで情報を得られますし、都会と田舎とでの二拠点生活も浸透しています。だからこそ、「逗子が都会に劣ることはないし、ここでしかできないことだってある」ということを地元の若い世代に伝えていきたい。
 
今年の逗子海岸映画祭では世代交代も意識していて、20代の若い世代に上映作品やゲストを選定してもらいました。その中で、その子たちが「地元から自分たちのカルチャーを作り出し、自分たちが発信源になれる」という自信を持ち始めているのを感じ取りました。
 
“CINEMA AMIGO”や“Cinema Caravan”といった活動をロールモデルとして、僕たちの地元・逗子に対する想いが伝わっているのではないか、と感じています。

イベントプロデュースに挑戦した次世代チームのみなさん

日常の中の“非日常”が、品川に新たなカルチャーを生み出す兆しに


継続することにより信頼と成果が現れる。その言葉の重みを感じていると、本日最後のメニュー“ポルチーニ茸とベーコン、ルッコラの‘フンギ アーリオオーリオ’ ”が運ばれてきました。ニンニクの香りと共に、噛むたびにベーコンのうまみを感じられるこちらのメニューは、パスタの中でも特に人気とのこと。

ポルチーニ茸とベーコン、ルッコラの“フンギ アーリオオーリオ”(¥1,580)

“逗子海岸映画祭”を主催する “Cinema Caravan”は「地球と遊ぶ」をコンセプトに動く媒体として全世界を旅しています。
様々な土地に根差す“日常”の中に“非日常”を感じさせる空間を展開してきた“Cinema Caravan”が表現する“品川国際映画祭”が、リアル開催としては3年ぶりに品川インターシティにて開催されます。
 
イベントの主軸である“屋外映画上映”は、映画館で作品に没頭するのとは異なる体験です。
 
長島さん:
屋外映画の醍醐味は、やはり“解放感”と“一体感”ですね。
屋外では車が走る音や通行人の話し声も聞こえてきます。映画館とは違って、“静かに映画に集中しなくてはいけない”という状況ではない。お酒や食事を自由に楽しんでも良いし、隣の人と話しながら見ても良いという自由さがあります。
観客同士が気を配りながらじっと映画を見るのとは違い、観客から歓声が上がったり、拍手が起こったりすることもあり、その場にいることが重要な意味になっていると思います。
 
「映画は静かに観るもの」という既成概念を一度取り払って、映画館では味わえないような空気感に浸れるのが屋外映画の良いところですね。
 
また、天候がある種の演出になるのも屋外映画ならではです。過去に海賊映画を上映した際、船の上で嵐に遭うシーンでちょうど雨が降り出して、天然の4DXになったこともあります(笑)。
 
11月7日より開催される“品川国際映画祭”は、コロナ期間中のブランクもあり今回で4回目を迎えた段階。長島さんは、今後の開催を重ねる中で、品川ならではのカルチャーが生まれていくという期待を抱いています。
 
長島さん:
品川という街は、様々な要素が混ざり合う地点ですよね。
僕たち逗子に住んでいる人間からすると“東京に到達した際の最初の分岐点”というイメージが強くて、“都会と田舎がクロスオーバーする街”だと思っています。
また、オフィスビルが立ち並ぶ一方でマンションも多いので、“品川国際映画祭”では“働く時間を過ごす人“と“仕事を終えた後のプライベートな時間を過ごす人”が混在する状況が生まれるはずです。
 
そんな品川が映画祭の会場として定着していくと、この街で働いている方や住んでいる方、はたまた別の街から足を運んでくる方がつながる拠点として、今までにない新たなカルチャーが生まれる可能性を感じます。
 
そのようなカルチャーは決して一朝一夕に生まれるものではありません。僕たちの原点である“逗子海岸映画祭”も、開催し続けたことで地域に定着し新たな意識を持った若い世代が担い手として加わる流れが生まれてきたのです。
だからこそ“品川国際映画祭”も継続させていき、品川で新しいカルチャーを育んでいきたいですね。
 
最後に、“品川国際映画祭”の楽しみ方のポイントを伺いました。
 
長島さん:
オフィスといった究極の“日常”の中に生まれた“非日常”の中に立つと、言語化しにくい気付きを得る瞬間があると思います。来場してくださった方にとって、“品川国際映画祭”は感覚を広げるきっかけになるような体験になるはずです。それぞれの世代で、それぞれの立場で、それぞれの捉え方で、各々の体験をぜひ楽しんでいただきたいです。

長島さんをはじめとした“Cinema Caravan”のメンバーが作り上げる“品川国際映画祭”は、いよいよ来週11月7日(月)からスタート。“非日常”が広がる世界に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
 
また、今回取材の舞台となった“TRATTORIA Italia”はイベント会場から歩いてすぐ。ピザのテイクアウトも行っているので、映画を観る際の腹ごしらえにも活用できますし、映画を観終わった余韻に浸りながらのディナータイムにもぜひ訪れたいお店です。
 
それでは、次回の記事もお楽しみに。

イベント会場をバックに“Cinema Caravan”のみなさんと。
会場で見かけた際には是非お声がけください。
品川国際映画祭、楽しみですね!

【店舗情報】TRATTORIA Italia 品川店


住所|〒108-0075 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB別棟1F
TEL|03-5782-8777
HP|http://www.trattoria-italia.com/shinagawa.html
MAP|https://goo.gl/maps/bZZ7vnpvFkvASMNFA