品川にゆかりのあるゲストをお招きしながら、地元飲食店の魅力を伝える“Re-FRESH”。今回は、品川駅港南口の“焼肉かすが”にて、スティックパイ専門店“coneri品川”店長の井上実紅さんにお話を聞きました。

品川駅構内の“エキュート品川”で営業中の“coneri品川”は、チョコを染みこませたスティックパイを主力商品として2017年に誕生した、品川発の新スイーツブランドです。

その生みの親は、浜松銘菓“うなぎパイ”で知られる有限会社春華堂。静岡県浜松市を本拠地とする春華堂が、東海道新幹線で約250キロ離れた品川を新ブランド立ち上げの地として選んだ背景には、いったいどのようなストーリーがあったのでしょうか。“焼肉かすが”のこだわりのお肉とともにお楽しみください。

今回の舞台“焼肉かすが”

品川駅港南口前のメイン通りから、“港南二丁目二番地”の細い路地へ。昭和から残る小さな建物が立ち並ぶこの区画はノスタルジックな雰囲気で、Shinagawa Peopleから愛され続ける名物スポット。今回の舞台“焼肉かすが”も、その人気店のひとつです。

自慢のお肉は、東京食肉市場から直送の黒毛和牛。その中でも、A4ランク以上の雌牛に特化しているのが“焼肉かすが”の特長です。ハーフサイズや立ち食いカウンターといった一人客向けのサービスもあり、「おいしいお肉を気軽に楽しんでもらいたい」という店主の想いが伝わってきます。

そんな“焼肉かすが”にお招きした今回のゲストは、スティックパイ専門店“coneri品川”店長の井上実紅さんです。ブランドロゴ入りの大きな紙袋を抱え、店頭でのユニフォーム姿で登場してくださいました。

井上さん：
“coneri品川”からお土産を持ってきました。ぜひ読者のみなさまに紹介させてください！

品川発のしみチョコスイーツ「coneri品川」とは？

“coneri品川”は、スティック型のパイにチョコレートを染みこませてコーティングしたしみチョコパイです。生地に使用されているのは、国産小麦粉などを配合したオリジナルの“こねり粉”。職人の経験にもとづく手わざにより練られ、約千層に折り重ねることにより、香り豊かでサクサクとした食感のパイに仕上がっています。

この日井上さんが持参したのは、2024年秋のラインナップ。店頭でお客様にするのと同じように丁寧に説明してくれました。

井上さん：
今日は定番商品の“ベネズエラ産カカオ”、“フランス産ミルク仕立て”、“静岡産抹茶”と、秋のフレーバー“マロングラッセ”と“安納芋”、サンリオキャラクターとのコラボパッケージ商品などをお持ちしました。

商品は個包装になっていて、1袋に1本ずつスティックパイが入っています。細長く片手で食べやすい形状なので、仕事中やコーヒーのお供にちょうどいいですし、袋の外からポキポキッと折って配ることもできます。

パイは手のひらから指先くらいまでの長さで、幅・厚みはともに1㎝ほど。しっかりとした重さがあり、1本でも満足感を得られます。

井上さん：
私のイチオシフレーバーは“マロングラッセ”です！ もともと秋の季節商品として開発されましたが、社内外でとても好評で、この冬から定番ラインナップに並ぶことが決まっています。

パイの表面にノンアルコールのラム酒パウダーを纏わせてあり、かじるとラム酒がふわっと香ります。始めはそのインパクトで「ラム酒だー！」と驚くのですが、後からまろやかなチョコの甘みが感じられます。この味わいの変化が私のお気に入りです。

井上さん：
飲みこんだ後も、口から味が消えるまでじっくりと余韻に浸りたくなるんですよ……。ご試食いただいたお客様も、みなさまびっくりするほどのおいしさです！

 「食を伝える！」の志のもと、入社1年半で“coneri品川”店長に

“coneri品川”の余韻覚めやらぬ中、テーブルには“焼肉かすが”のメニューが到着しました。前菜に“ねぎ塩サラダ”と“白センマイ刺し”、焼肉は、牛カシラ、上ロース、上カルビ、ミックスホルモン、シメに“牛めし”のフルラインナップです！

店長という役職柄、ランチタイムにゆっくりと過ごすことが難しいという井上さん。最近は勤務後に品川港南の街に繰り出す機会も増えてきたそうですが、“焼肉かすが”のようなディープなお店は未開拓だそう。品川港南ソウルフードのおいしさを堪能していただきながら、井上さんや“coneri品川”について伺います。

井上さん：
栄養系の短大に通っていた頃に授業で地元食材を使った商品企画をしたことがあり、その時にお肉のことも勉強しました。カシラはゼラチン質が多くて歯応えがある部位だと記憶しているのですが、こちらはやわらかいですね。これまで食べた中で、いちばんおいしいです。

井上さん：
“coneri品川”を就職先に選んだのは、和菓子職人だった父の影響が強いかもしれません。小さい頃からお菓子が身近にあったこともあり、学生の頃に高速道路のサービスエリアのお饅頭売場でアルバイトをしていたら、たまたま春華堂の社員の方々と知り合いました。「お菓子を売る仕事っていいな」と思い、入社を希望しました。

入社後はずっと品川店に勤務しています。数ヶ月前に店長になったばかりで未熟ではありますが、会社の大切なブランドを背負っているという自覚を持って、スタッフの皆と一緒にがんばっています。

“coneri品川”を通じて品川のみなさまにHappyを！

“coneri品川”がエキュート品川にオープンした2017年以来、春華堂では、“coneri品川”が「品川に愛されるお菓子」として地域に根付く日を目指して、行政や観光協会、企業、学校とのコラボレーションを重ねてきたといいます。その背景には、1887年の創業から今年で137年目を迎える老舗企業・春華堂ならではといえる経営哲学がありました。

井上さん：
“coneri”のブランドには、 春華堂の想いが込められています。
10年ほど前まで、 春華堂の売上の9割は“うなぎパイ”が占めていました。しかし、春華堂は和菓子屋からスタートした会社ですし、売上の柱が“うなぎパイ”一本ということへの危機感もあって、2014年に和菓子と洋菓子で2つの新ブランドを立ち上げました。そのひとつが“coneri”です。

ブランド展開の拠点を浜松ではなく品川に置いたのは、品川が東海道の一番宿だからです。浜松も東海道二十九番宿・浜松宿として栄えた歴史があり、 春華堂は東海道を通じて商売を育ててきた企業です。その恩を、次は私たちから東海道へ返していきたい。そのための拠点として、一番宿である品川にこだわったのです。

井上さん：
これは会社の先輩が教えてくれたことなのですが、 春華堂の本部では取引先の方が来社することを“来浜（らいはま）”と呼び、一日かけて浜松の街を案内するそうです。お客様の記憶に浜松の楽しい思い出を残し、愛着をもっていただきたいという考えが根底にあるとのことです。

当社としては、「品川でも同じことをしたい」という想いから、“coneri品川”の製品で私たちだけが利益を得るのではなく、品川の行政や企業、街の方々をも巻き込んで、「“coneri品川”を品川のみんなのものにしたい」と考えております。

それを聞いたとき、「こんなに街への想いを持っている会社だったのか！」と驚くとともに、私もその一端を担がせてもらっているんだという実感が湧きました。

お土産のお菓子は、家族や仲間と旅の思い出を振り返ったり、共有したりするときに欠かせないものです。お菓子を囲んで「こんなことがあってね」と会話をしていると、心が満たされ、みんなが笑顔になります。浜松の思い出ばなしをするテーブルに“うなぎパイ”があるように、“coneri品川”も、品川にとっての“それ”になれたらいいなと思います。

＊　＊　＊

新卒入社から2年弱で、基幹店舗の店長に抜擢された井上さん。売上管理やマネジメントといった新しい仕事に奮闘の日々を過ごす中でも、「笑顔で明るく、お客様に合わせた接客態度」を忘れないよう、常日頃から心がけているそうです。その天性のホスピタリティは、取材中カメラに見せてくれた豊かな表情からも伝わってきました。

読者のあなたも、品川駅を利用する際にはぜひエキュート品川の“coneri品川”に立ち寄って、サクッと甘い“しみチョコ”スイーツを手に取ってみてください。
そして品川土産を持参する際は、是非”coneri品川“を！

それでは次回の記事もお楽しみに。

 【店舗情報】焼肉かすが

住所｜東京都港区港南2-2-14
TEL｜03-3474-4550
MAP｜https://maps.app.goo.gl/zwQhXcHPT2dsyAvn9 
HP｜https://tabelog.com/tokyo/A1314/A131403/13183371/